〜 夜中に豆を煮る 〜
私の母はずっと仕事をしていたし、家族の食事づくりに情熱をかたむけるような人ではなかった・・・。
従って、「母の味」というのを思い出すことはない。
それでも、ときどき「気分転換」のつもりだろうか。
愛読書の「婦人之友」の料理のページを広げ、手伝ってくれる人を集め(?)
台所じゅうで大さわぎをして、つくることがたまにあったかも。
あと、お正月のとき「黒豆」を煮ていたような。
いや、
あれは黒豆が好きだと言っただけかしら。
とりあえず、私の中で母と黒豆はつながっている。
(ちなみに私は黒豆のなかのまっ赤なチョロギが好き!)
が、
しかし、
けれども・・・。
「黒豆を煮る」なんて、
そんな、
そら恐ろしい事が私にできるはずがあるだろうか?
イヤ
決してありはしない。
(文法か!?)
やれ、つや良く、やれ、ふっくらと、やれ、しわなく、、、、
ムリムリ! 一生ムリ!
「自分、豆なんて、一生煮ないっス!」
と思ってきました。
それが、なにかで読んだか聞いたかしたんです。
「とにかく豆なんざ、味付けた水に一晩つけおいて、あとは時間のある時に、やわかくなるまでずっと煮ればいいのよ!」と。
エ〜っ!?
もしかしたら、それなら私でもできるかもしれない・・・。
おそるおそる煮てみました。
味付けについては、いろんな考えを総動員して、なんとか黒豆煮らしきものが完成!
しわも寄ってるし、つやもない、けど、とりあえず、黒豆でした。
家族もそれなりに喜んで食べてくれました。
そして
私はめざめたのです。
「豆を煮る」という作業のその甘美さに!!
コトコトコトコト
いつまでも煮るのです。
時間がなければ火を止め、
また煮られる時に火をつければいい。
楽ちん!!
夜中、家族が寝静まった頃、私は、鍋を見つめ豆を煮ます。
アクをすくいすくいしながら、いろんなことを思います。
「今日のあの子の様子、あれはただのだだこねじゃないよなァ〜。なんか気づいてほしかったのかも・・・」
「あの子のお母さん、この頃元気なのかなァ。会えたら声かけしてみよう」
「あのクラスの散歩は、いっしょに行きたいなァ〜」
「やだ! また先生たちあれ準備するの忘れてるじゃない!
毎年の事なのに。
なんだって思い出す人がひとりもいないんだろう!?
ホントにどいつもこいつもおバカばっかり、よくも集まったもんだ!」
などなど・・・。
お鍋を見つめながら、
コトコトコトコト。
いま、コレを書きながらも煮ています。
だし昆布を小さく切って、大豆といっしょに入れ、おしょう油だけの味つけ。
「大豆のしょう油煮」
です。
キャァ〜!
かっこいい私!
よっ!
料理上手!
まつさん、もうすぐ卒園。
大きくなったね。
たみこさんは、いつも、みんなのこと思っているよ。
昼間だけじゃないよ。
夜中も豆を煮ながら、思っているよ。
では、
そろそろお豆の様子を見に行かないと〜♪
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